Wallerstein氏への謝罪と補足

拙記事知識じゃなくて知的誠実さだよ、馬鹿 - 吾輩は馬鹿であるに対してWallerstein氏より反応塩まかれました(笑) - 我が九条を頂いた。一部同氏の意図を誤解していたことを謝罪するとともに、補足をさせて頂く。
余りこの件の論争とは関係のないことになるが、ご容赦願いたい。
便宜上、話題の順序を同氏の記述順に倣う。

1

「あなたを尊敬していたのですが」ということを書いていたが、どこを「尊敬していた」のだろうか。

実はあなたのブログは年単位の昔から見ておりまして、アイヌなどに関するわかりやすいまとめを見て勉強させて頂いておりました。ご専門の知識はもちろん、一般向けにわかりやすいまとめを書けるということも見習いたいと思っていた次第です。

2

私はfuku33氏がつるし上げられるのを「おお、こわ」とみていた。そしてHALTAN氏に同情した。これはApeman氏のところで告白している。私がHALTAN氏にかみついたのは「階級闘争史観」でしかない。「階級闘争史観」というテクニカルタームを安直に使ったことに私は「もったいないな」と思ってブクマでdisったわけだ。その反応にいささか苛立った。これはずっと告白しているが、HALTAN氏に対する共感があり、ここをもっと厳密な概念で話してほしかった、と思っていたからこそヒートアップしたわけだが、もちろんHALTAN氏からすれば単に迷惑なだけであっただろうし、そのことに思い至って私はHALTAN氏には申し訳ない、と謝罪したわけだ。

これはまことに申し訳ありません、事実関係を勘違いしておりました。再度あなたのブックマークを読み直しまして、その旨を納得致しました。どうも、他の方のブックマークコメントをあなたのものと混同していたようです。これについては弁解のしようがございません。あなたを「二枚舌」と非難したことには根拠がありませんでした。深くお詫び致します。

3

私がひっかかったのはただ一つ「学問やってる人間をなめないでほしい」という言葉である。「学問やってる人間」をなめるな、ということは、「学問をやっていない人間」が「学問やってる人間」に何かえらそうな口を利くな、というようにしか読めなかったので私は大きな文字でdisった。

それに関しては完全な誤解です。
自然科学や社会科学をやっている方にはおわかり頂ける方も多くいるかと思いますが、ときどき半可通の人文系の人がやってきて、「お前らのような単純馬鹿にはわからんだろうが、俺たちのような人文系の人間からするとお前らの議論にはこのような欠陥があって」云々という演説をぶってくださることがあります*1。そのときによく持ち出されるのが「合理主義の延長に人間性の抑圧がある」といった、今回よく見たような文句なのです。そして、そのような常套句はもはや聞き飽きているし、逆に何かものを言うときには、そのような常套句に引っかけられないかどうかという吟味をする癖はついています。
そのように「素人が、そんな常套句ごときで我々の学問の根底を崩せるぐらいなら科学哲学だの応用倫理学なんて学問はそもそも不要ではないか、馬鹿にするな」という苛立ちが内心にあったため、そういう書き方をした次第です。それを「偉そうな口を聞くな」と解釈されるなら言葉もありませんが、しかし私の価値観としては、他分野の専門家を素人の思いつき程度で糾弾するということは非常に敬意を欠いた態度に感じられるということです。

*1:私が学部生の頃、文学部の学生から「お前らは『無限大』というものを『∞』という一つの記号に落とし込むが、そのことに恐ろしさを感じたことがないのか」などと詰問されたことがあった。彼は「神は死んだ」という台詞とそのことを結びつけたかったようだが、具体的にどのような「恐ろしさ」があるのか、彼からはついに説明を聞くことができなかった。