「あたまがわるい」という前に説明責任を果たせ

要約

本記事では、トリアージ批判派*1のうち、id:hokusyu氏を中心として「あたまがわるい」といった罵倒を行う人たちの言動の不誠実性を批判し、改めて必要な箇所への説明を求める。

はじめに

私がお説はごもっとも、しかし瀕死の重傷者を救わねばなりません - 吾輩は馬鹿であるを書いたのは、一つにはid:Apeman氏・id:hokusyu氏の両氏とid:HALTAN氏の間に生じている不毛な対立を傍目八目によって緩和できないかと考えたからである。
傍目には、両氏の言動は意図はどうあれ結果的にid:HALTAN氏を無為に挑発し逆撫でし、事態を収拾ではなくこじれさせる方に仕向けているようにしか見えなかった。そのように状況がこじれた原因は、HALTAN氏が本当に両氏の話を「理解できない」でいるのを、両氏が「理解を拒んでいる」と邪推したためにあると思えた。
しかし、傍目に見て両氏の議論は本当に「理解できない」ものであった。少なくとも、私のように「理解できない」という思いでいる人間は多くいるように思えた。そして、その原因は話の前提が共有されていないためであると考えた次第である。
ところが、hokusyu氏およびその支持者からの応答は極めて不誠実と言わざるを得ないものであった(参照)。そして、その後これらの人たちの反応を見ていく中で、私の意図が正確に伝わっていないことが推察された。
そこで、本記事では私がhokusyu氏らの言動を「わからない」とした意図について再度説明したい*2

「理解できない」の分類

まず、私はhokusyu氏の主張が「理解できない」と言っているのだが、同氏の反応を見た結果、「理解できない」という状況には色々な可能性が錯綜していることに気付いた。以下、一部重複もあるが、簡単に分類しておく。現在の私の状況が本当に該当するのは以下のどの箇所なのか、判断に苦しんでいる。

1. hokusyu氏の文章は理解力と無関係に理解不能である場合
1.1 自明でない何らかの前提を暗黙に使用している
当初、これを一番強く疑っていた。だからこそ詳しい説明を求めている。
1.2 論理的に破綻している
これは論外だが、ひとまずは考えないものとしておく。
2. hokusyu氏の文章は理解可能ではあるが難解である場合
2.1 主張自体が本質的に難解であり、簡単な説明が不可能である
これはあり得ない。なぜなら、同氏の記事を「わかりやすい」と言っている人が多くいるからだ。
2.2 衒学的に、意図的に難解な説明をしている
同氏の支持者の全てがアガンベンを理解していると思えない以上、この要素は否定できない。
2.3 端的に説明不足であり、それを放置している
仮にそうだとすると「あたまがわるい」という言葉を使うべきではないだろう。
2.4 実は余りにも自明かつ些末なことを針小棒大に主張しているため、盲点になっている
現在、これが一番あり得るように思える。他の人の説明を読めば読むほどその思いが強まる。

私が「理解できない」という言葉を使う際には以上のような意味があることを念頭において頂きたい。

hokusyu氏の態度の問題点

私に限らず、同氏の主張を「理解できない」としている人には前項で述べた事情がある。それを踏まえると、id:hokusyu氏の態度には大いに問題があると言わざるを得ない。具体的には、極めて難解な説明*3を与えておいて、それが理解できないと述べる「ググレカス」で片づけ、さらに説明をしないことについて開き直るなど、理解されることを最初から拒むような言動である。意図的に他人を怒らせようとでもしていない限り、この態度は到底理解不能である。
同氏は次のように述べる。

たとえば先生ならば生徒がわからないことに責任があるかもしれない。でもアイアムは誰かの先生でしたっけ。
http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20080812/p2

これは全く反対である。「先生」が教える内容は正しさが十分に担保されたものだが、同氏は論争の当事者であって、同氏の主張に正しさが担保されているとはいえないのだ。論争相手及び第三者の検証可能性を保つためにも、「先生」でないからこそわかるように説明する責任があるというべきだ。

おわりに

以上のことから、この件について誠実さを欠くのはhokusyu氏の側であって、同氏の議論を「理解できない」としている側ではないといえる。同氏は他人を説得しようとするなら、ましてや理解できない人間をあたまがわるい」と罵倒しようとするなら、それ以前に果たすべき説明責任というものがあるだろう。その履行を強く求める。

追記:hokusyu氏およびohkami3氏へ

このような応答を頂いたが、内容は追って触れるとして、態度に誠意を欠くという指摘を繰り返さざるをえない。

意味がわからないんだが、ぼくは勝手に絡んできたソカリアンさんを説得しようと思ったことは一度もないし、したがって説明責任は無いんじゃないかなあ。
もちろん、責任はなくてもしたほうがいいことはあります。
id:sk-44さんがあまりにも真摯すぎるのでやるわけであって、あんたのためにやるわけじゃないんだから勘違いしないでよねっというやつです。

極めて傲慢である。「勝手に絡んできた」とおっしゃるが、公開の場でなされた言説に疑問を呈する権利が私にあるのは当然であり、そして、私が匿名ダイアリーに書いた記事に「あたまがわるい」と喧嘩を売ったのはあなただからだ。この点の批判は私個人ではなく、さる見識ある方のご意見をお借りした方がよいであろう。

hokusyu 2008/08/13 13:58
ふざけるなバカ野郎。
自分はずっと観客席にいると思っているのかもしれないが、
人の議論を中傷した時点でお前ももう当事者だ。
「気軽に」したなら何の責任も負わずに人の議論中傷していいの?
上から目線で人を馬鹿にしていいの?
ふーん。あたまわるいだけじゃなくて失礼な奴だな。
この手の観客席があると思ってるバカは本当にうんざり。
http://d.hatena.ne.jp/sandercohen/20080813/1218584623#c1218603481

次に、ohkami3氏へ。

b:id:ohkami3 「自分が現代社会で「教養」と呼ばれるある種の知識を有していず、また頑に学ぶことを拒んでいる」という選択肢はどこに入りますか?//俺の知らないこと=全て自明でない:論法

では、何が「教養」か具体的に指摘して頂こう。まさかアガンベンとはおっしゃるまいな。専門家以外の口からアガンベンなどという名前をネット外で聞いたことは、私は寡聞にしてないのだが。

*1:トリアージ自体を批判してはいないと反論はされているが、便宜上このように書かせて頂く。正直なところ、この議論を負えば負うほどトリアージ自体が批判されているようにしか思えないのではあるが。

*2:本記事を書くに当たってトリアージ批判派の意図を理解するためにはid:sk-44氏の一連の説明が大いに参考になった。同氏への応答は別に行うものとして、ひとまずはこの場を借りてお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

*3:難解と判断した理由についてはお説はごもっとも、しかし瀕死の重傷者を救わねばなりません - 吾輩は馬鹿であるを参照。